Q-info 第183号 2023年3月発行 【読者訪問】
読者訪問 第157回
お伺いした会社 株式会社デジック
お話を伺った方 代表取締役会長 上野 雅弘 様、代表取締役社長 倉田 慎介 様
会社の所在地 〒581-0053 大阪府八尾市竹渕東1丁目209番地
電話番号 TEL 06-6790-8585㈹ FAX 06-6790-4611
事業内容 生産管理システムの開発販売、バルブ用パッキンの製造販売
ホームページ http://www.digic.org/
今年1月に社長を交代された(株)デジックさんにお伺いしました。
同社とのお付き合いは20年ほど前に遡ります。同社はもともと製造業を営んでおられたのですが、CAD・CAMシステムの取扱いなどを経て自社用に生産管理ソフトを開発されました。その生産管理ソフトをパッケージ化して他社にも販売していこうと考えられ、ソフトのパッケージ化とその後の販売戦略などのアドバイスを求めて当時の大阪産業振興機構に相談されたところ、登録アドバイザーの中からパッケージソフトの開発販売を手掛けているシスポートの米田が目にとまり、専門家派遣制度に基づいて同社にお伺いしたのが上野社長(当時)との出会いでした。
そして、試行錯誤を何度か繰り返しながら生産管理ソフトのパッケージ化を進め、15年ほど前にAssistシリーズが誕生しました。
“町工場が作った現場主導型生産管理システム”として
現在150社を越える製造業に導入されており、中小製造業の現場にフィットした生産管理システムとして当社もAssistシリーズを取り扱わせていただいております。
上野会長とは20年来のお付き合いとなるのですが、この度見事に事業承継を果たされました。
上野会長は還暦を迎えられた7年ほど前、ぼちぼち事業承継のことも考えないと・・・・と思っておられたそうです。そんな矢先、入院を要する大病に罹られました。それ以前にも倉田氏には将来の話などをされていたそうですが、それをきっかけに本人の意思も確認しながら本格的に事業承継を進められました。
上野会長には娘さんが3人いらっしゃるのですが、それぞれ自社の事業には関わっておられないので、事業承継はまったく考えなかったとおっしゃいます。後継者は社内からと考える中、2008年にプログラマーとして入社した倉田氏に注目されます。
プログラマーとして入社したにもかかわらず営業的なことにも関心を持ち、徐々にマネージャーとしての頭角を現します。
社長室長から統括部長に、兼務役員~専任役員~専務取締役と6年ほどかけて社内環境を整えてこられました。そして今年1月、代表取締役社長に就任されました。
上野氏は代表取締役会長となり二人代表制でしばらくは経営にあたられるとのことです。
倉田社長は上野会長が病気になられたとき、自分がしっかりとしなければならないと思ったとおっしゃってました。まだその時点でははっきりと後継者に決まっていたわけではありませんでしたが、自分がやらなければという意識はお持ちだったようです。
社長になってまだあまりプレッシャーは感じないとおっしゃっていましたが、社員を大事になさっていた上野会長の人柄を忘れないように、自分が主体ではなく社員が主体で居心地がいい会社を目指したいとおっしゃっていました。
「まだまだ実感が湧かないがこれからきっと厳しいことが一杯出てくると思う。上野会長に受けた恩を忘れないように、社員の気持ちが分かる社長になって頑張っていきたい」と熱く語っておられました。
後継者難で廃業したりM&Aしたりする会社も少なくない中、血縁関係でない社員への承継をうまくおやりになったデジックさんを見習わねばと思いながら、新社長の活躍と会社の発展を祈念しながら帰路につきました。
(米田)