Q-info 第178号 2022年10月発行 【読者訪問】
読者訪問 第153回
お伺いした会社 株式会社立野矢
お話を伺った方 代表取締役 吉岡 晶子 様
会社の所在地 〒603-8487 京都市北区大北山原谷乾町131-3
連絡先など TEL 075-462-2975 FAX 075-462-2955
事業内容 各種織物製造
ホームページ https://tatinoya.com/
「西陣織の伝統を引き継いだ京都の織元」立野矢さんをお訪ねしました。
“織れる物なら何でも織る”をコンセプトに西陣織の良さを活かしながらいろいろな織物に挑戦されています。
お父上である先代社長のチャレンジ精神を間近で見ながら社会に出て、違う業界を見てみて身近にあった西陣織の素晴らしさに気づき、家業に入られました。そして先代の精神を引き継いで西陣織の伝統技術を活かした新しい織物「京織(きょうおり)」を立ち上げられました。京織は何百とある素材や柄からお客様のニーズに合った生地を織って提供されています。今までなかった柄や生地を、織元だからできる強みを活かして織っておられます。それらの織物は和装用品だけではなく、ネクタイやハンドバッグ、インテリアなどに幅広く使われています。
先代社長が、織機の幅が33cmが標準だったときに100cm、150cm幅が織れる織機を導入しました。
100cm幅が異端児扱いされた時代でしたが、いろいろな素材の織物を織ることができ、雑貨メーカーをはじめシューズやバッグなどあらゆるニーズに対応できることが強みになりました。
また、天然木を素材とした木織にもチャレンジされました。かなり以前ですがお邪魔したときに先代社長が『天然の木材を使った織物を作り始めた』と自慢げにおっしゃっていたのを思い出しました。
天然木を素材にしたテナージュを2mm幅で裁断し、それを縦糸に使って自動織機で織ります。ここでも幅の広い織機が功を奏し、広幅の木を素材にした織物が自動で連続的に織ることができるようになり、世界初の天然木織物が完成しました。
北山杉をはじめ尾久杉、黒壇、ひのき、けやき、竹など、多くの木材を使うことができます。某有名ファッションブランド本店の8階VIPルームに天然木で織った織物が飾ってあるのだそうです。
立野矢さんとのお付き合いは古く、当社の創業期に始まりました。
チャレンジ精神旺盛な先代の立野社長が、まだグリーンディスプレイ全盛の頃の初期のパソコンで、販売管理をしたいと当社の販売管理ソフトを導入いただいたのがきっかけでした。
それ以来、現在まで時代時代に合ったシステムに更新してきていただいており、40年近くのお付き合いとなります。
いまも娘さんである現社長が『はんばいQ』をご愛用いただいており、本当に当社の貴重なロングライフユーザーであり有り難く思っております。
将来ビジョンをお聞きしたところ、「立野矢は“織れる物なら何でも織る”がコンセプト。すなわち、依頼があればいろいろな織物にチャレンジしてご提供する、いわば陰の織物工場。オープンファクトリーであることを基本として、前面に出ないでOEM的なオーダーメイド織元として西陣織の良さを伝えていきたい」とおっしゃっていました。
隠れた京都の伝統産業の担い手として、これからも素晴らしい織物を作り続けていただくことを期待して同社を後にしました。
(米田)