Q-info 第163号 2021年7月発行 【読者訪問】
読者訪問 第138回
お伺いした会社 株式会社山口精機製作所
お話を伺った方 取締役社長 山口 誠 様
会社の所在地 本社 〒621-0013 京都府亀岡市大井町並河3-16-13
河原林工場 〒621-0007亀岡市河原林町河原尻下五丹4
連絡先など TEL:0771-23-0531 FAX:0771-24-4743
メールアドレス m-yamaguchi@yamaguchi-seiki.com
ホームページ https://yamaguchi-seiki.com/
事業内容 精密機器・精密部品製造、マスク製造
今回は、京都府亀岡市にある㈱山口精機製作所さまの河原林工場をお訪ねしました。
山口精機製作所さまは、山口社長のお父上が創業なさった会社で現社長は2代目となられます。もともとお父様が島津製作所にお勤めされていて、そこから独立されたそうです。当初は島津製作所の下請けとして金属のバリ取りなどの仕上げ作業を請け負っておられたそうですが、やがて島津製作所の数多くの下請け外注先などからの仕事が増え、金属加工や切削部品加工などの仕事が増えていき金属加工業としての事業領域が確立していったそうです。
やがて分析装置の一部の組立などを請け負うこととなり、金属加工だけではなく機械装置の組立などにも領域を広げます。自動販売機のオーバーホールを手掛けたり、生産設備の製造を担ったりしていく中で、機械のこと、メカニックなことを学んでいったとおっしゃいます。
そして島津製作所だけではなく、コンデンサ製造メーカーなどからも生産設備の製造を請けるなど、生産設備製造業としての地位も獲得されて行かれました。
『当社はメインが精密部品加工なので、その技術を活かして生産設備の製作もやっていくことが出来ることが強み』とおっしゃっています。
はじめの頃は依頼先から図面をもらって製造(組立加工)する形態が多かったそうですが、今では自社で設計して製作まで行うことも多くなってきているそうです。いろいろなところから依頼があって独自の機械を作る。そういった仕事を伸ばしていきたいともおっしゃっていました。
昨年、新型コロナウイルス感染症の拡大でマスクの需要が急増しました。国内においてマスク不足が深刻になり、一時期、大変高額で売られたときもありました。マスクの製造機械はほとんどが中国製だそうです。
なんとか自社でマスク製造機を作れないものかと思い、まず中国製の機械を導入してみました。そして、それを見本として自社製造に取りかかりました。やはり中国製のものはできが悪く、歩留まりも良くなかったそうです。それらの欠点を解消して自社製のマスク製造機を作るのに半年ほどかかりました。世の中でマスク不足が叫ばれていたので、導入した中国製の機械でマスク製造も行ったりもしていていろいろと忙しく、本来なら3ヶ月ほどで出来るのに半年もかかってしまったとおっしゃっていました。
メーカーから請ける仕事は相手先にメンテナンス要員がいる場合が多いのだそうですが、小規模な会社やマスク製造をやろうというような会社ではメンテナンス要員がいないと考え、マスク製造機にリモートメンテナンスが出来るようにWebカメラを取り付けて、リモートで調整などの指示が出来るようにしたのだそうです。これからはこのマスク製造機を積極的に販売していき、良質な日本製のマスクの供給体制確立の一翼を担いたいとおっしゃっていました。
また一方、レストランのドリンクバーにあるジュースディスペンサー(お客が自分でジュースなどを注ぐ装置)はメーカーにメンテナンス部隊を持っていないところが多く、そのメンテナンスを担う事業も始めておられます。今般、その事業の管理システムを当社の『はんばいQ』をベースにカスタマイズして導入させていただくことになりました。
機械づくりと精密部品加工。ものづくりが出来ないと部品加工が出来ない。機械づくりが出来てこそ部品加工に生きてくる。とおっしゃっており、部品加工と機械メーカー、その相乗効果でますます業績が向上することを念じております。
(米田)